令和3年3月19日、飯田市議会第1回定例会が開催された。議会では、リニア推進特別委員会による重要な報告が行われ、地域の公共交通整備に向けた取り組みが強調されている。
まず、リニア推進特別委員会委員長の井坪隆氏が、リニア駅周辺の整備計画に関する提案を報告した。具体的には、「郊外駅としての長野県駅の在り方」や「JR飯田線との接続に関する検討」、さらには「デザインノートから考慮することが求められる」と強調した。
特に、井坪氏は、リニア駅前空間の整備について、過去の協議と市民・専門家からの意見を尊重し、今後の実施計画に向けて広範な意見聴取が必要であると述べた。更に、地域資源のプロデュースと発信を通じた駅の重要性を語った。
社会文教委員会の村松まり子委員長も報告を行い、少人数学級に関する請願が趣旨採択されることが決定した。この請願は、コロナ禍以降の教育現場での教員の負担軽減と、生徒一人一人の学習の質を向上させることを目指すものだ。福澤直美氏からの意見書内容に基づき、特別支援が必要な児童・生徒に対する支援も強化する必要性が指摘された。
一方、産業建設委員会では、最低賃金に関する新規請願が審議された。この請願は不採択となったが、議員たちからは地方と都市の賃金格差の是正に向けて努力すべきとの意見が出された。
議案審議の中で、大きな議題となったのは令和3年度の一般会計予算についての採決だ。市長の佐藤健氏は、新型コロナウイルス対策や地域経済の再生を重視した予算案について詳細に説明した。議案第32号「令和3年度飯田市一般会計予算」が可決された際には、賛否両論が巻き起こり、特にリニア推進事業に対する反対意見が目立った。
この議会では、リニア関連事業が地域経済に与える影響や、コロナ禍を経た今後の方針についての重要な議論が行われ、議員たちは市民生活の安定を求める意見を共有した。議会閉会に際し、佐藤市長は市政の透明性と市民との信頼関係を重視しながら、市政運営に全力を尽くすと誓った。