飯田市議会の全員協議会が令和5年8月29日に開催され、各議題が議論された。特に市税の収納実績と信州大学の新学部誘致の取り組みについての検討が注目された。
熊谷泰人議長は、冒頭で原発の処理水の海洋放出に対する中国の過剰反応について懸念を示し、その影響が水産業者に及ぶ可能性があることを強調した。また、物価高騰の影響で国内経済への不安も訴え、政府に対しては国際原子力機関(IAEA)からの説明を求める姿勢を表明した。
続いて、佐藤健市長が挨拶し、信州大学の新学部誘致について言及した。市民の間には、新学部設置が見送られたことに対する残念な声が広がっているとし、今後も信州大学との連携を深めていく意向を示した。市長は、リニア新幹線時代のまちづくりに必要とされる4年制大学の設置に向けて共に取り組む意義を強調した。
次に、後藤孝男納税課長から市税等収納実績についての説明が行われた。令和4年度の市税収入は、法人市民税の減収を受けつつも、固定資産税が回復し、結果として3億6,252万円の増収を達成。収納率も99.53%に達し、県内19市でトップクラスの実績となった。納税課長は、納付について市民に感謝を述べ、引き続き収納対策を強化する方針を示した。
さらに、信州大学新学部誘致に関する報告が行われ、加藤博文大学誘致連携推進室長が現在の動向と国の支援状況について説明。情報系人材養成に関する支援が大学院レベルで行われることになり、信州大学は今後、地元の特性を生かした新たな学問領域の検討を進めることとなる。特に、環境やリニア、エアモビリティなどの分野において地域の強みを活かした研究と育成の重要性が指摘された。
最後に議会報告・意見交換会の開催についての説明があり、意見交換を通じて市民の声を聞く姿勢が重要視されると確認された。全員協議会は10時40分に閉会することで終了した。