令和3年9月1日に開催された奥州市議会定例会では、重要な地域課題に関する一般質問が多く取り上げられた。今回の質疑応答を通じて、デジタル人材の育成やICT整備、災害に対する支援体制など、地域の抱える問題を解決するための方策が深く議論された。まず、19番の阿部加代子議員はデジタル人材の育成について質問を行った。この中で、労働力不足が進む中でのデジタル技術の導入が必要不可欠であることを強調した。特にAIやRPAの利用が挙げられ、他の自治体での成功事例として長野県塩尻市の取り組みが紹介された。市長の小沢昌記君は、RPAの導入に向けた取り組みや、女性デジタル人材育成プログラムの重要性を述べた。
次に、災害時要援護者支援に関する質疑が行われた。阿部議員は、災害情報の提供体制や避難支援についての整備状況を尋ねた。市長は、災害時の情報共有システム整備や、聴覚障がい者や外国人住民への情報伝達策を積極的に検討中であると回答した。しかし、より具体的なシステム構築については、課題が残る印象があった。また、参加者の一人が指摘したように、過去の災害経験を基にした安全対策が、今後の施策に生かされる必要があるとの意見も見られた。
その後、江刺地域の医療体制についての質問もあり、議会での議論が進んだ。特に新病院建設予定地や、医師の確保の重要性が強調され、地域住民が求める医療の在り方について活発な意見交換が行われた。市長は新切り捨て的な施策には否定的であり、地域医療の存続に向けて最大限の努力をすると述べた。
さらに、工業団地整備や産業道路整備についても質問があり、地域産業の振興に向けた具体的な施策が提案された。特に、金ケ崎町との連携を通じた交通インフラ整備や、地域経済の活性化が重要なテーマとされ、地域連携の強化に期待が寄せられた。
最後に、森林環境譲与税に関する議論があり、森林所有者の抱える課題や木材の利用促進についての報告がなされた。市では、間伐材の有効利用や森林環境教育を通じた地域の活性化に向けた取り組みを進めていく意向を示した。