奥州市の6月定例会では、聴覚障がい児・者支援やオストメイト支援に関する重要な質問が行われ、市が直面する課題についての議論が深まった。
特に、聴覚障がいを持つ子どもたちの支援について、市民からの要望や実態調査を基にした具体的な施策が求められた。議員は、人工内耳の維持に必要な電池代が家計に大きな負担を与えているとの切実な声を紹介し、消耗品を日常生活用具の対象品目に加えるべきとの提案を行った。
市長は、助成が必要であるとの認識を示し、今後、当事者団体との意見交換を含め具体的な支援策について検討する方針を述べた。また、人工内耳の体外機の取扱いに関しても、令和2年3月からの改定に沿った情報提供が行われていることを確認した。
次に、ユニボイスの活用に関する質問が取り上げられた。議員が提案したユニボイスアプリの活用は、高齢者や多言語話者に対する情報保障に寄与するとされ、市は今後、音声コードを活用した文書の提供について調査を進める意向を示した。
オストメイトに対する理解促進の取り組みも重要な話題であった。市は条例に基づき、入浴施設などでのオストメイトの受け入れを促進する取り組みを進め、その例として温泉施設へのアプローチを検討する方針を示した。さらに、トイレの設置状況を確認し、周知した上で改善を図る必要があると認識された。
また、災害時におけるストーマ装具の分散保管について、市は利用者団体との協議を行い、その必要性を考慮する計画が進められている。これにより、地域の障がい者に配慮した災害対応策が重要視されている。
全体として、今回の定例会での議論は、聞く耳を持つ市政の姿勢が示されており、次世代を見据えた包括的な支援体制の構築が期待される。特に、障がいのある方々にとって生活しやすい環境を提供するための具体的な行動が今後求められる。