奥州市の市議会で行われた議論を受け、行政の教育政策や高齢者支援について重要な問題が浮き彫りになった。
最初に、ＧＩＧＡスクール構想に基づく教育の現状が説明された。教育長の高橋勝氏は、ノート型パソコンが2021年8月に各校へ配置されたと述べ、その後の授業での使用例として調べ学習やオンライン授業を挙げた。特に遠隔による学びの機会が新たに提供され、生徒たちの学びが広がっている点が評価された。しかし、一方で教育方針の急激な変更により、全ての授業での実施状況にばらつきが見られると報告される。
さらに教育長は、研修の必要性にも言及し、教員のＩＣＴ活用能力向上が今後の課題であることを強調した。現段階では一部の児童・生徒がデジタル機器を扱えない状況もあるため、均質な教育が確保できていないとの反省が必要とされる。
次に、加齢性難聴への対応については、倉成淳市長が現行の補聴器購入補助制度の難しさに触れる一方、他市町での成功事例を挙げた。大船渡市や遠野市では具体的な補助制度を設け、高齢者支援に取り組んでおり、奥州市でも類似の制度創設が求められる。市長は、地域の声を基に、補助制度の必要性を庁内で再検討する姿勢を示した。
市営住宅についての議論では、入居不可となっている128戸の今後の対応策が問われた。菊池太君市長は、地域の住民の声を聞きながらごく慎重に進めていく意向を示しつつ、会計健全化に向けた進捗を報告した。他にも、過去5年の市営住宅使用料の未納状況が波及しているため、今後は法的手段も含めた回収策を強化する方針が強調された。