令和3年6月10日、奥州市議会は定例会を開催した。その中で、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種や地域医療に関する課題が取り上げられ、市民との対話や医師確保の取り組みが議論された。
新型コロナウイルスワクチン接種については、予約の混雑や高齢者の取り残しに関する市民要望が相次いだ。市は5月17日から80歳以上の予約を開始し、約63%の予約が完了したが、予約が電話とインターネットに依存し、つながらない状況が続いていた。市長は、今後の接種に向けた対策として、予約受付の分散化や接種会場の拡大を検討する意向を示した。さらに、車椅子利用者への配慮や、訪問看護師による自宅での接種に関する要望も出た。
また、地域医療に関しては、特に前沢診療所の存続を求める住民の声が強まっている。市長はこの声を受け止めつつ、地域医療を安定的に続けるためには、再編方針を出す必要があるとの考えを示した。特に医師数の減少が影響しており、医師確保が喫緊の課題とされている。市立病院と民間医療機関の連携や医師確保策についてもさらなる努力が求められる。
さらに、山田議員は、前沢診療所が地域住民にとっての重要な医療機関であることを指摘し、その存続についての市のスタンスを再度確認した。市長は、地域医療を守るための方針を貫くことであり、改革プラン策定後には市民との対話を重ねる考えを示した。
医療機関の統合が進めば、医療サービスの地域ごとの分散による質の低下が心配される中、地域の医療機関がなるべく存在を維持できるよう、市も配慮を続けていかなければならないと考えられている。
この議題でのやり取りは、地域医療の継続への強い思いと、新型コロナウイルスという厳しい状況下での市民の健康、安全の確保を望む姿勢が顕著に表れていた。