奥州市では、空き家の問題がますます深刻化していると見られている。令和四年度の実態調査によると、市内にはおおよそ3,000件の空き家があることが確認され、苦情件数も増加傾向にある。特に、管理不良のため周囲に迷惑をかけるケースが多いため、早急な対策が求められている。この問題に対し、市は現状の把握を行い、有効な対策を模索している。
空き家の苦情件数は年々増加しており、令和四年度のデータによると、156件の相談があった。相談内容の中には、庭木や雑草の管理についての苦情が多く含まれており、周辺住民にとっては大きな悩みとなっている。そのため、市は所有者に対し適切な管理を依頼する通知を送るなどの対応を行っている。また、適切な管理がされていないことによる危険な状態についても、市が介入し、必要な措置を講じる方針である。
加えて、空き家問題の発生原因についても焦点が当てられている。空き家の約五割は相続から来るものであり、その半数以上が遠隔地に居住する所有者によるものである。これにより、遠方からの管理が難しくなっている。市では、65歳以上の高齢者が住む持家も大きな問題になると考えており、事前の予防策が必要であると認識している。例えば、地域の協力を得ながら早期の対応策を考えて実行できるようなシステムが求められている。
農畜産物ブランドの維持に関しても依然として課題が残る。前沢牛や江刺リンゴといったブランドは、多くの市民にとって誇りであり、地域のシンボルでもある。しかし、肉牛の出荷頭数は年々減少の一途をたどっており、昨年度には860頭にまで減少した。生産者の高齢化や後継者不足が直接の原因とされる。市は、ブランド維持のための施策として生産量の確保や後継者の育成に向けた取組を強化する予定であるが、具体的な行動が求められていると考えられる。今後は、農業者と市との対話の場を設け、企業戦略や生産現場の声を反映させるようにしなければならない。