多可町では、高齢者による交通事故防止のため、「命のバトン」と呼ばれる緊急医療情報キットの導入が進められている。この取り組みは、高齢者が急に体調を崩した時、救急隊が迅速かつ的確に対応するための情報を提供するものである。
命のバトンは、近隣の集落で先行して導入されており、民生委員やケアマネジャーの協力を得て、必要な住民に配布されている。冷蔵庫に磁石で貼付することができ、救急時にすぐに情報を引き出せる。
一方で、多可町では運転免許証の返納が進んでおり、返納者には福祉タクシー乗車券が提供されているが、その対象者は依然として高齢化が進んでいることから、さらなる対策の必要性が指摘されている。特に、地方の交通状況を考慮する場合、高齢者が車を手放すことに対する不安は非常に大きい。今後の方針としては、運転免許証の自主返納を促しながら、代替交通手段の整備や周知を進めていくことが求められている。
また、各種イベントでの展示や、医療機関での取り扱いを検討することで、命のバトンの普及を図ることが重要である。特に、集落自主防災組織の取り組みを参考にしつつ、地域住民が積極的にこの制度を利用できるよう、情報提供の手法を増やしていく必要がある。
高齢者福祉施設の利用者からの苦情や要望に対応する仕組みも必要で、苦情処理の体制は現在の担当窓口に依存しているが、さらなる情報の共有や透明性を求められるところである。多くの自治体が類似の問題に取り組んでおり、県内での成功事例を参考とすることも一つの方策といえる。
このような様々な視点から、高齢者の安全運転、運転免許証の自主返納、より充実した支援策などが求められている。多可町も、先進的な事例を見習いながら、より良い施策の実現に向けて進んでいく効率的かつ実践的な方法を模索していくことが必要である。