名寄市の令和2年第3回定例会では、新型コロナウイルス対応や教育、住民福祉に関する多くの課題が議論された。特に注目されたのは、教育分野におけるオンライン授業の進捗状況だ。加藤剛士市長は、GIGAスクール構想に基づいて児童生徒一人一台の端末を導入することを発表した。現在の進捗状況を報告した河合信二教育部長によると、令和2年度末までに端末等の整備を進めており、特に智恵文小中学校ではモバイルWi-Fiを活用し、通信環境の改善に取り組むという。
教育界の現状には、児童生徒のストレスや不安が高まっている実態が感じられた。国立成育医療研究センターの調査によると、子供たちが不調を訴えるケースが増加し、中でも低学年の子供たちが特に影響を受ける傾向が強い。教育委員会ではその対策として、教育相談の実施を推進し、各学校で教職員が心身の健康観察を行い、適切な相談体制を築くよう努めている。
また、川村幸栄議員が提案した、オンラインによる心のケアや支援体制の構築も重要な課題として浮上した。名寄市では、学校や地域においてボランティア協力を得て、児童生徒一人一人の心のケアに向けた具体的な対応を検討していく方針を示している。特に、コロナ禍による影響は学業にも現れ、学習の遅れを取り戻すための効果的なアプローチが求められそうだ。
加えて、2040構想を見据えた名寄市のスマート自治体化に関する議論も行われた。渡辺博史総務部長は、スマート地方自治体の実現に向けた取り組みについて言及し、AIやロボティクスの活用が求められる状況にあることを認識する必要があるとした。市民生活から行政運営までデジタル化が進めば、住民サービスの向上が期待される一方で、職員の負担軽減と市民が納得感を持てる形での運営が求められるだろう。