令和3年第8回神石高原町議会定例会が12月8日に開催された。今回は、農業振興や公共施設の整理統合、交通対策など、多岐にわたるテーマが採り上げられ、議員からの活発な質問が行われた。特に注目されたのが、農業振興策に関する質疑である。
藤田議員は、米価の下落に伴う農家への支援策について質問を発し、農業公社の役割や今後の方針を問うた。町長入江嘉則氏は、米価の変動に対して町単独で個別の支援を行う予定はなく、国や県の対応を注視しながら、経営安定に向けた取り組みを進めると回答した。さらに、農業公社に関しては、町全域への拡大は現時点では難しいとし、人的確保や経費の負担が課題であるとの見解を示した。
続いて、公共施設の整理統合についても議論された。これは町の財政状況や人口減少を背景に、今後どのように施設を適正化していくかが焦点となった。入江町長は、過去の合併時の施設維持管理に関しても言及し、利用状況や施設設備の老朽化に基づく検討を進めていることを明らかにした。
交通対策では、特に中国バスの路線廃止による住民の影響が指摘された。町長は、乗客数の低迷により路線の存続は難しいとのことで、通学路線の確保に向けた取り組みを強調した。また、生活交通の確保に対する姿勢を示し、必要に応じて公共交通に関する新たな施策を検討する考えを示した。
さらに、藤田議員は、奨学金支援制度に関しても質問を行った。入江町長は、制度の利用状況を把握し、町民からの寄附を促すための説明会を開く意向を示した。ただし、今後の説明会が遅れたことへの反省も述べた。
なにより、デジタルトランスフォーメーションの推進に向けた取り組みと、未病への施策としてウエアラブル端末の配布が計画されている。保健福祉課長は、次年度から実証実験を実施する旨を説明し、これを契機に健康データの取得を通じて町民の意識向上を図るとした。
最後に、地域おこし協力隊についての質問では、町長は今後の人材確保に向けて、自治振興会などの意見を聞きながら続けていく意向を示した。協力隊が活動する地域資源を活かした取組が進んでいくことに期待が寄せられている。
今回の議会では、農業・交通・教育・デジタル化に関する施策が幅広く論じられ、今後の町政における重要な方向性が示された。