令和4年3月3日、関市議会第1回定例会において、池村真一郎議員が市の刃物産業について質疑を行った。特に、コロナ禍でも成長が見込める刃物産業の現状と課題が浮き彫りとなった。
池村真一郎議員は、関市が全国の家庭用刃物の出荷額の50%を占めていることを強調。刃物類の出荷額が約423億円に達し、全国トップであることを示した。特に、ふるさと納税の寄附額が好調である点にも触れ、刃物製品の返礼品が寄附全体の73%を占めていることを挙げた。
続いて、池村議員はふるさと納税における刃物製品の遅延問題を指摘。森川哲也市長公室長は、特に人気の調理器具について過去に遅延があったものの、現在は刃物製品に遅延は発生していないと回答した。しかし、鋼材調達の課題は残るとして、引き続き事業者との連携を強化していく意向を示した。
刃物産業の事業所数についても議論され、武藤好人産業経済部長は、事業所数が5年間で12.2%減少していると報告。これに反して、刃物関連の出荷額は24.8%増加しており、需要は比較的安定していることが確認された。池村議員は、人口減少や外部からの安価な刃物流入、職人不足といった課題に対して懸念を示した。
また、職人育成の施策についても、武藤産業経済部長が解説。就職サポートセンターを通じた求人活動や工場見学などを通じて、若い世代を業界に引き込む取り組みを進めていると語った。さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)の活用も課題の一つとして挙げられ、人材の育成に向けた支援策が求められることが確認された。
事業承継の施策についても質疑があり、武藤部長は、地域の中小企業を対象に事業承継支援事業を令和4年度に開始すると発表した。この事業では、後継者不在の中小企業が、支援を受けながら専門家に手続きを委託できるとして、企業の継続的な発展に向けた取り組みが重要であると強調した。
池村議員は、今後の施策の方向性に手応えを感じつつも、課題に対する継続的な取り組みを求めた。個々の企業の資金繰りや設備投資が重要であり、高齢化が進む中、職人の育成は喫緊の問題であるとの認識を示した。市はこれらの課題に積極的に取り組む必要があると結論された。