令和2年3月に開催された銚子市議会定例会では、地方財政の現状と新型コロナウイルス感染症への備えについて議論が交わされた。
市長の越川信一氏は、銚子市の財政状況が厳しく、過去10年以上にわたり財政危機が続いていると強調した。また、財政調整基金の残高がわずか1億円であり、国から示されている適正な残高の15億円に対して著しく不足していることを指摘した。これに対し、越川市長は、過去の大型事業による公債費負担が多額であることが主な要因であると説明した。
さらに、新型コロナウイルスの影響に対する市の取り組みについても報告された。市では、感染拡大を防ぐため、3月から市立学校の休校措置や、市内各施設の閉鎖、イベントの中止を決定した。また、市立病院の対応も説明され、入院患者管理の新たな体制が整えられたことが述べられた。
他方、課題として挙がったのは、財政筆頭の人口減少問題である。市長は、銚子市の人口が減少していることに対して非常に危惧を抱いていると述べた。市内では、住民の基本台帳に基づくと、平成26年度から平成30年度までの間に6,448人の減少があり、将来的にはさらに減少する見込みであることが示された。その結果、地方交付税や税収の急激な減少が見込まれるため、行財政改革が急務であることも訴えられた。
それに対し、議会からは新年度の予算案に対し質疑が行われ、具体的な対応策について問われた。特に、子育て支援といった財政出動が急務であり、それが人口流出を抑える要素となるとの意見があり、市長はその重要性を認めつつ、財政状況を鑑みた調整の難しさに言及した。
加えて、銚子市立病院の運営についても議論された。病院は民間医療機関と異なり、地域医療の担い手として多くの費用が持続可能である必要があり、運営への負担が増えている中で、医療サービスをどう維持するのかが課題であった。内科や整形外科など地域に必要な医療を多面的に担うことが求められ、さらなる対応策の必要性が感じられた。
これらの議論を通じて、今後の銚子市の財政運営や社会保障、子育て支援の拡充を図るためにも、行財政改革を進めながら、地域住民の安心できる生活環境を整え、持続可能なまちづくりを進める必要があることが想起された。すべての施策が相互に関連し合っており、短期的な財源確保だけでなく、長期的な展望を持った計画が求められる。市民の生活が劣化しないよう、普段かかわる地域医療や教育、子育て支援といった社会サービスを確保しなければならないと、出席した議員たちも再認識したようである。