令和3年3月の旭市議会で、令和3年度一般会計予算に関する質疑が行われた。総額173億331万円の予算案に対し、議員からは新型コロナウイルスの影響や予算の各項目に関する質問が次々と挙がった。
特に注目されたのは、令和3年度の一般会計予算案として提案された「新型コロナウイルスワクチン接種事業」の563万6,000円という金額だ。高齢者を対象としたタクシー利用助成事業が導入され、自身で交通手段を確保できない高齢者が接種会場まで移動できるよう支援する。どのようにして利用するかについて、健康管理課長が説明する中で、タクシー利用に関して1回1,000円の助成券を配布する計画だと述べられた。この助成により、ワクチン接種のハードルを下げ、高齢者の接種率向上に寄与することが期待されている。
また、旭市多世代交流施設の設置に関する質疑も行われた。市の企画政策課長は、この施設が子どもを中心に多世代間の交流を促進することを目的とし、地域全体の活性化につながると強調した。一方で、市内の地域活性化の観点から、役割の分担や相乗効果をどう確保していくかについては意見が分かれた。特に、役割分担が明確にならなければ、地域のコミュニティが分散する恐れも指摘された。
さらに、地方独立行政法人総合病院国保旭中央病院の定款変更や、図書館の移転についての質疑も行われた。病院では、東京に新たに病理診療所を開設する理由として、専門医の確保が難しいため、遠隔診断方式を取り入れることを示した。図書館の移転では、市が利用するスペースについて県立図書館での運営方針を確認した。これにより、他の利用者との合同での運営が進められるとの見込みが示された。
総じて、旭市議会では新型コロナ禍における予算案が主な焦点となり、その影響を考慮した様々な助成施策が展開されることに同意がなされた。市民の健康や安全を最優先に、経済への影響を軽減しつつ、地域の活性化へとつなげることが求められる。