令和4年3月9日、宇部市議会において、篠崎圭二市長が施政方針を演説した。多くの議員が質問を通じて、地域が抱えるさまざまな問題について意見を交わした。特に注目を集めたのは、産業振興と教育行政に関する議論である。
まず、産業振興に関する質問に対して、篠崎市長は新たな成長産業の創出に向けた取り組みを発表した。市では、令和3年5月に設立した「宇部市成長産業推進協議会」を通じ、産学公金の連携向上を狙っている。山口大学や地元企業との連携を深め、医療・健康、宇宙産業、環境・エネルギー分野での研究開発に注力していく方針を示した。市長はまた、「製造業はコロナ禍でも順調に推移した」とも述べ、関連企業への支援を強化する考えを明かした。
次に教育に関する議論が展開された。山下節子議員が質疑に立ち、教育現場における教員不足や子供の貧困問題について触れた。教育長は、教員志願者が減少している現状や、教員の診療体制を強化する施策について言及した。特に、家庭や地域が一体となって子供を支える必要性を強調した。教育委員会が適正配置課題に取り組んでいることも報告され、地域住民との協力が重要であるとの認識が確認された。
福祉行政については、ヤングケアラーの実態把握と支援への取組が語られた。啓発活動を通じて、実態調査を行う計画が示され、県と連携した先進事例からの情報収集も進めるとのこと。特に、虐待防止に向けた支援体制が必要であるとの意見が出た。
また、中心市街地活性化に関する発言も目立った。市長は、「宇部新川駅周辺を整備し、人流を創出する」と述べ、ウォーカブルな街づくりを推進する方針を強調した。市役所周辺の整備により、住民や観光客が集まりやすい環境を整えることが期待されている。
最後に、市立図書館リニューアルに関しても触れられ、来年度には市民参加のもと新たな図書館の形が模索されることとなる。このように、地域の課題への具体的な対応が進行中であることが伺える。議員からは、今後も市民の声を反映した政策を求める声が上がっており、篠崎市長はその重要性を認識しているとした。
今後の施策については、行政主導で推進されるとともに、民間のノウハウも活用した、持続可能な地域づくりが求められている。県内外からも注目される中、確かな成長を目指す宇部市の今後に期待が寄せられる。