令和3年12月10日、練馬区議会は第4回定例会を開催し、多数の議案を審議した。
重要な議題として、議案第121号は注目を集めた。この議案は、練馬区の会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の一部を改正するもので、正規職員の給与引き下げに伴い、会計年度任用職員の期末手当も0.15か月分引き下げる内容である。
この改正に対して、岩瀬たけし議員は強い反対の立場を表明し、賃金引き下げによって会計年度任用職員の生活が困窮する事態に陥ることを懸念した。特に、現在の非正規職員の多くが女性であり、女性の暮らしに深刻な影響を与えると指摘した。このような状況が、官製ワーキングプアを助長し、精神的な不安定さにもつながると警鐘を鳴らした。
島田拓議員も同様に、この改正案が民間企業における賃金引き下げの口実になる可能性を懸念し、特に会計年度任用職員が低賃金で働いている実態を踏まえれば、賃金の引き下げはさらに不平等を助長することになると指摘した。議事の中で彼は「会計年度任用職員は恒常業務に従事しているにもかかわらず、賃金が低く抑えられている現状を正す必要がある」と訴えた。
この他にも、デフリンピックの東京開催についての陳情第48号が取り上げられた。この陳情は、聴覚障害者に特化したオリンピックを2025年に東京都で開催するよう働きかける旨の内容であり、区議会はその意義を確認し、関係機関に意見書を提出することを決定した。これにより、デフリンピックの認知度向上と啓発活動が期待される。
また、議案第99号では、環状8号線横断地下通路整備工事請負契約が可決され、地域交通の円滑化が図られる。議案第100号も無事に通過し、男女共同参画センターの指定管理者として特定非営利活動法人を選定することが決まった。これにより、地域における男女共同参画の推進が期待される。
議案第121号は最終的に賛成多数で可決されたが、その過程で浮き彫りになった会計年度任用職員の現状については、今後の課題として特に注視される必要がある。区長の前川燿男氏は、議会における慎重な審議に感謝の意を表し、区民の生活を支えるために引き続き努力していく意向を示した。