令和5年6月19日に開催された浜田市議会定例会議では、公共交通の路線廃止や農業振興、障がい者の雇用支援などさまざまな議題が討議された。
特に注目されたのは、石見交通が運行する路線バス有福線の廃止申入れに関する問題である。有福線は高齢者が多く利用する交通手段であり、その廃止は周辺住民に深刻な影響を及ぼす。市は、江津市と連名で存続要望を行ったが、現在の利用者数が減少しつつあり、慢性的な乗務員不足が課題となっている。市長の久保田章市氏は、何とか減便によってでも存続を図りたいと述べているが、運営者の石見交通が厳しい経営状況にあるため、協議は難航している。
このような状況を踏まえ、住民からは常々、地域交通の維持に関する切実な声が上がっており、石見交通との協議において、市はその声をしっかりと受け止める必要があるとされている。また、公共交通の選択肢として市が行っているあいのりタクシー等運行支援事業の活用や、スクールバスの一般乗車を促す取り組みも必要とされている。
次に、浜田港の振興に関する議論もあった。市長は、韓国やロシアとの国際定期航路を持つ浜田港の利活用を大切にしていきたいと語った。特に、釜山港と連携を強化し、貿易量を拡大させるため、ポートセールスを実行したことが報告された。さらに、クルーズ客船の誘致については、地域資源を生かした体験型企画が重要であり、市内に観光資源をつなげていくビジョンを持つとした。
また、有害鳥獣対策として、ツキノワグマの目撃が増えていることが報告され、特に集会所や学校等での電波状況の改善が求められるとの意見もあった。市としては、携帯電話が繋がりづらい地域を保護し、必要な交通体系の確立を進める考えを示した。