令和4年12月8日、八重瀬町議会では第10回定例会が開かれ、多くの議題が討論される中、特に重要なテーマである議案第93号「八重瀬町役場出張所設置条例の廃止」が注目を集めた。
この議案では、出張所を廃止し、機能を本庁に集約する方針が提案された。議長の神谷たか子氏はこの決定は、町民サービスの向上と事務処理の効率化を図るものであると説明し、議会内でも多様な意見が交わされた。
村の住民を代表する議員らは、町長の新垣安弘氏が出張所を廃止する理由として、現在の利用状況が非常に少ないことを挙げた。さらに、経費削減の観点からも納得できると述べられたが、実際には多くの住民にとって出張所は重要なアクセス手段であることも指摘された。
神谷信夫議員は、具志頭地域の住民が最も困るのはこの廃止であり、アンケート調査の数値が不十分である点を強調した。一日平均16件の利用者があるとされ、これらの住民が今後どのように行政サービスを受けるかは大きな課題であるため、もう少し慎重な対応が必要だと訴えた。
また、地域住民からは「交通弱者のための支援が十分かどうか」という声も上がり、急いで廃止することの是非が改めて問われた。過去の運営実績も踏まえ、慎重な市民との対話を進める必要があるという意見は他の議員からも出された。
さらに、出張所廃止の過程で郵便局を利用するという提案もあったが、その十分な移行準備が必要であるという合意も形成された。このような様々な意見が交わされた結果、議案第93号は最終的に否決されたものである。
出張所の存在をめぐる議論は、具志頭地域の住民の利便性や地域コミュニティのつながりを守る上で重要な局面を迎えており、今後の町政運営にも影響を与える事例となった。今後、町は地域住民との対話を重視し、十分な情報提供と説明責任が求められそうである。