令和元年6月17日に開催された東御市議会では、重要な議案が多数審議された。特に湯の丸高原屋内運動施設事業特別会計補正予算に関連する議案第8号は、地域の将来に大きな影響を及ぼす可能性がある。
本補正予算では、特設プールの設置に伴い、運営準備業務委託料500万円と指定管理料4,000万円が求められている。歳入としては、一般寄附金1,500万円とネーミングライツとして3,000万円が計上されており、円滑な運営に向けた財源確保が重要な課題とされている。
特設プールの運営には、企業の支援が不可欠とされ、ネーミングライツの取得が試みられている。しかし質疑応答では、現時点で応募企業が存在せず、宣伝効果が不確実な中での高額設定(3,000万円)に批判が集まった。議員の中には、広告の効果を考慮すると特設プールはアスリート用途に限られ、一般市民の目には利用価値が薄いとの意見もあり、結果として獲得が困難になるのではないかと懸念が寄せられた。
また、今回の議案では、万が一ネーミングライツの取得が果たせなかった場合、落選者への平準の配慮として条件を下げ再募集する可能性も示唆されており、これに対し「行政としての信頼性を損なう」との意見も出た。新たに設置される特設プールについては、高度な技術が求められるが、実績が未確定な事業に資金を注ぎ込むことのリスクが浮き彫りになった。
審議の結果、議案第8号は賛成多数で可決されたが、将来のガバナンスや市民の財政負担に対する不安が強く残ることとなった。市が推進するこうした大規模事業は、地域の活性化に寄与することが求められる一方で、財源確保に関する透明性と信頼性が必須であり、その重要性が再確認された。今後の事業運営が注目される。