令和2年5月14日、経済地域委員協議会が開催された。
この日の会議では、松くい虫対策についての報告があり、さまざまな意見が交わされた。委員の芝山稔氏は、アンケートの地域区分について疑問を呈し、「地区ごとにアンケートを集約するべきではなかったか」と指摘した。これに対し、耕地林務課長の岩田公晴氏は、旧松本市エリアの被害状況から一括した判断をしたという経緯を説明した。
また反対意見として、参加者の中には松枯れが外的要因ではなく気候変動に起因する自然現象であるとの意見もあり、芝山氏はその理由について再考を求めた。市民から寄せられた意見に対して、岩田氏は市民の多様な感情を受け止め、今後の方針を検討する旨を述べた。また、薬剤散布計画についても反対意見があがり、賛成意見との対立が浮き彫りになる場面が多く見られた。
その中で勝野智行委員は、散布をしない方向性を問いかけ、現在の散布方針の確認が行われた。これに対しては、耕地林務課長から昨年12月に県に申請したエリアについて説明がなされ、具体の地区名が挙げられたが、情報不足が懸念された。
反対意見として澤田佐久子委員は、長期的な視点に立った森林環境の維持と、専門家の意見を聞く機会の確保を求めた。つまり、持続可能な対策が求められる中、市民の理解を得るための努力が必要であると強調。彼女は森林環境税の有効活用を提案し、実効性のある施策が予算化されることを訴えた。
加えて、神津ゆかり委員は、アンケート調査の実施過程で住民の参加度が不十分であることを指摘し、「住民への情報発信が不十分である」として透明性確保を訴えた。岩田氏は、新型コロナウイルスの影響で説明会が開催できないことを説明し、状況改善の必要性を認識しているのかという意見も受けた。
会議の終わりに、委員長の吉村幸代氏は「承認しがたい」とし、方針が具体的に提示されることを求めた。本日の議論は、松くい虫対策がいかにして市民と関わって進められていくかという問題意識を強く印象付ける内容となった。今後の持続可能な森林政策が注目される。