令和4年3月10日に開催された三田市議会定例会では、様々な重要な議題が議論された。
特に注目を集めたのが市民病院の再編統合問題である。日本共産党三田市議団を代表して質問を行った長尾明憲議員は、ウクライナ情勢や新型コロナウイルス感染症への対応も論じながら、医療政策の重要性を強調した。特に市民病院の役割に関して、急性期医療の確保のための統合が提言される中で、市民に及ぼす影響に対する懸念が示された。長尾議員は、「医療費抑制策によって医療従事者が減少し、必要な医療を受けられない状況が生まれた」と述べ、病院の統合には慎重な検討が必要であると訴えた。
また、学校園の再編統合問題についても議論が行われた。長尾議員は、地域住民の合意形成が不足していることを指摘した。特に、長坂中学校や八景中学校の再編計画に対する異論が存在し、その進め方への不満も表明されている。教育行政においては、小規模校のメリットを最大限に生かし、地域に根差した教育環境を提供する重要性が訴えられた。
さらに、三田市の人口減少問題が取り上げられた。市長の森哲男氏は、人口減少の原因として高齢化や地域開発の影響を挙げ、持続可能な地域社会への転換が課題であると述べた。「人口ビジョンを見直し、子育て支援を強化する」との方針も示された。
そして、特に注目されたのが教育バウチャー制度の導入に向けた検討である。教育バウチャー制度は、子どもたちが学校外で多様な学びを得ることを目的とし、地域の教育機関やサービスの拡充につながる可能性がある。辺境地域の住民にとっても、有用な制度になると市長も期待を寄せる。また、教育の質の向上や地域経済の活性化にも寄与する見込みだとの意見が元教育長からも示された。
これらの議論を通じて、三田市の未来を見据えた政策の推進が求められていることが改めて強調された。市民の声に耳を傾け、具体的な対策を進める必要性が浮き彫りとなった。