令和5年度第374回三田市議会定例会が開催され、公契約条例や森林・里山保全に関する重要な議題が提起された。
議長の森本政直氏は、議事を進める中で、一般質問の冒頭に公契約条例の制定について言及した。公契約とは、国や地方自治体が公共工事を行う際の契約であり、これに関する条例が求められている背景には、長年の経済停滞と物価高騰があるとの意見が相次いだ。
木村雅人議員は、これまでの賃金が減少している実態を指摘。国が定めた最低賃金法を順守することに関しても、実際の現場では下請け業者などの労働条件が守られているか疑問点があると指摘した。「税金を利用した公契約で官製ワーキングプアを生むことは問題」と強調し、早急な条例制定が必要だと訴えた。また、調査対象になっている他市の成功事例も紹介され、条例が地域経済の活性化にも寄与すると説明した。
田村克也市長は、議会の意見を踏まえた上での公契約条例制定に向けた進捗状況について言及した。しかし、条例制定の議論は慎重に行われなければならないとも述べた。他の地方自治体で既に条例が施行され、労働者の賃金アップや労働条件の改善が報告されていることも言及され、導入促進の必要性が強調された。
次に、森林・里山保全についての議論が行われ、三田市の森林面積が市全体の約65%を占める中、地域住民がこの資源を正しく活用できるかが重要なポイントとして挙げられた。今回の議論では、森林や里山が持つ経済的・環境的機能を市民共同体の力で活用することが求められていることも忘れてはならないとされ、市民やボランティア団体、NPO、企業が連携して取り組む必要性が訴えられた。
ボランティア団体の活動も課題として浮上。補助金制度がありながら、その利用が厳しい状況について市の見解が求められた。森本議長は、今後の地域の活性化に向けて里山活動の推進が期待されるとも述べている。
公契約条例の制定や里山保全について、議員らは今後の議論・検討を通じ、確実な政策実行の必要性を訴えるとともに、市民にとっても安心して暮らせる環境づくりを目指すことが求められている。