令和4年9月7日に開催された尼崎市議会第9回定例会では、退任を間近に控えた稲村和美市長が自身の任期を振り返り、様々な政策や取り組みについて説明した。
市長は、これまでの任期中に取り組んできた財政改革や新型コロナウイルス対策に関する評価を行い、行政としての課題も述べた。特に新型コロナウイルスの急拡大に対し、今後の注力項目として医療体制の整備に重点を置く考えを示した。市長は、「コロナウイルスの拡大による影響を踏まえ、医療機関と連携を強化し、地域住民の安全を守る施策を進めていく必要がある」と強調した。
デジタル化に対する取り組みも言及された。稲村市長は、デジタル庁の設立以降、テクノロジーの活用を通じた行政の効率化に注力していると述べ、市民ニーズに応えるためのデジタルサービスの拡充を目指す姿勢を示した。具体的には、マイナンバー制度の普及の遅れや、デジタルサービスの向上について議論があった。また、マイナンバーカードの交付率が全国平均を下回っている現状について、「この状況を改善するために、市民が利便性の向上を感じられる施策を強化すべき」と指摘した。
さらに、夏季加算の導入についても質問がなされた。前迫直美議員からの質問に対し、市長は「生活保護受給者が暑さ対策にエアコンを使うことができるように、国に対して政策の充実を訴えていく必要がある」と答えた。ただし、現時点では独自に市が助成する考えは薄いとの認識も示した。
また、エフエム放送事業廃止について、報道ではコミュニティFMの重要性とその役割が強調された。市長として市の文化振興を重んじる立場から「地域の文化や声を発信する場として、FM事業が果たしていた役割は重要であった」と答弁し、活動の継続を願う市民の声を受け止める考えを示した。
公共調達基本条例に関しては、条例の運用についての報告がなされ、違反企業への指導の在り方も焦点となった。市長は、「特に国や県からの助成がない場合の対応について、市としての方針を明確にしている」と述べ、公共工事に携わる企業への適切な監視を訴えた。
総じて、市長は「市民の安全と安心を第一に、今後も継続的な改革に取り組む必要がある」と強調し、今定例会が自身にとって最後となることについても誠心誠意の姿勢で市政を進めていく意向を示した。