令和4年2月定例会では、尼崎市議会が38の議案を審議し、全て原案通り可決された。
特に注目すべきは、尼崎市育英事業基金条例の改正である。この改正案は、尼崎信用金庫や一般財団法人尼信地域振興財団からの寄付金を元に、理工系学部の大学生への奨学金事業を実施するものである。
委員から、奨学金の対象に理工系学部の学生を選定した理由について質疑があり、当局からは、尼崎市がものづくりのまちであることから新技術開発や技術伝承を視野に入れた人材育成の観点が強調された。
また、公文書管理条例の改正に関しても審議された。これにより、市民に対する説明責任の観点から、公文書の適正な管理や保存制度が強化され、歴史的公文書の利用に対する決定期限についても国の制度に合わせる方針が示された。当局は、情報公開条例との兼ね合いについても説明し、指定管理者の保有文書についても指導していく考えを述べた。
職員定数条例の改正も重要な項目である。消防体制の整備を図るため、職員を増員する規定の整備が行われた。新規採用の職員は、日勤となり、事務を行いながら災害時にはその対応にあたる体制が整えられることとなる。これに伴い、事務職員が減少しない範囲で安全確保が求められる。
さらに、福祉医療費助成に関する条例の改正では、乳幼児やこども医療費助成制度の拡充が図られることが発表された。この改正に関しては、対象者が高校生まで拡大される可能性も示唆され、今後の施策に注目が集まる。
最後に、岸田光広議員が提案したロシアによるウクライナ侵攻への抗議決議について、議会は全員の賛同を得て可決された。議決文では、ロシアの軍事侵攻を断罪し、即時停戦を求める内容が盛り込まれ、日本に在留する邦人の安全確保や国際社会への連携の重要性が強調された。
今回の定例会では、尼崎市の未来に向けた重要な課題が多く取り上げられ、関係者の理解と協力が一層求められることとなった。