令和2年9月10日に開かれた第21回尼崎市議会では、コロナ禍の影響による様々な課題が議論された。
この日の討議の中で、新型コロナウイルス感染症関連の医療や救急体制に関する質疑が特に注目を集めた。佐野剛志議員(尼崎市議会)は、コロナウイルスの感染者数や入院患者数の具体的なデータを求めた。医務監の郷司純子氏は、直近のデータとして、8月底点でのPCR検査数が3,035件で271件が陽性、陽性率は9.0%、そして現在の入院患者は34名であり重症者は3名との報告を行った。
街頭犯罪に関する話題では、同議員が経済状況の悪化が治安に与える影響について言及した。市内の犯罪件数については、危機管理安全局長の梶本修司氏が、今年の刑法犯認知件数は2,519件で前年より418件減少したと説明し、特に自転車盗難は171件減少したことが強調された。これに対して、特殊詐欺の件数は逆に増加傾向にあり、給付金詐欺が多発している状況も指摘された。議員は、医療・福祉の必要性だけでなく、市民の生活を支える安全にも目を向けるべきと主張した。
新たに行われるコロナ対策に関連した本市の単独事業についても討論が行われた。経済環境局長の辻本ゆかり氏は、新型コロナウイルス対応として、事業所向けに実施した13事業の総額が約14.1億円にのぼり、そのうち9.4億円が一般財源から支出されていると報告した。特に、尼崎市のお店まるごと応援事業やテイクアウト促進支援事業など、地域経済を支える様々な施策が紹介された。また、支援対象の業種拡大についても言及し、製造業への支援も考慮されることが確認された。
議会では、保育士の人材確保や保育環境の整備についても議論され、北村章治議員からは、保育士の採用に向けた施策の強化が求められた。市による保育士就職フェアの参加者は、昨年よりも若干減少しているが、実際に採用に結び付いたケースもあると報告された。地域での啓発活動や、潜在保育士の確保に向けた施策を今後も進めていくことが述べられた。
このように、本日は新型コロナウイルスに対する対策や、それに伴う社会的影響を解決するためのさまざまな施策が議論され、討議は活発なものであった。市としては、安心・安全、そして地域経済の振興を両立させるための取り組みが求められているところである。