令和元年の千歳市議会第3回定例会が開催され、主に福祉行政と市民協働、アイヌ施策について議論が交わされた。
特に、松隈早織議員はひきこもり問題に焦点を当てた。彼女は、全国的に推計されるひきこもり者数が増加していることに懸念を示し、具体的な統計に基づき、千歳市にも約900人のひきこもり者が存在する可能性を示唆した。
ひきこもりの問題は、親の世代が高齢化する中で深刻化し、孤立死や無理心中などの事件も発生している。松隈議員は、厚生労働省が発表したメッセージを引用し、ひきこもりの人々とその家族の状況には配慮が必要であり、安心して過ごせる場所を確保することが重要であると訴えた。
これに対し、山口市長は市の取り組みを説明した。生活困窮者自立支援制度を通じて、ひきこもり相談への対応を行っているものの、実際の相談件数は限られていることが明らかになった。特に、ひきこもりに特化した施策は不足しているとの認識が示された。
また、市民協働についても話題が及んだ。松隈議員は、市民協働事業の運営における課題を指摘し、ボランティア団体や市民団体の疲弊感が高まっていることを懸念した。多くの団体がやらされ感に苛まれている現状を鑑みて、対等な立場での協働が必要であると強調した。
市の協働事業は、依然として補助金型の契約に依存しているが、松隈議員はこの形態を見直し、より柔軟な支援体制の構築を求めた。市長は、協働事業が市民主体の活動であることは認識しているものの、具体的な対応策には限界があることを認めた。
さらに、アイヌ施策についても討議された。新しく施行されたアイヌ施策推進法の背景を考慮し、地域計画の策定についての意見が交わされた。市長は、アイヌの文化と歴史に対する理解促進の重要性を認識しつつ、具体的な新施策の実施に向けた動きを示した。
男女共同参画に関する議論では、女性の政治参加や管理職の比率向上についての現状が報告された。千歳市の女性議員割合は26.1%であるものの、クリティカルマスには達していない。市長は、男女共同参画推進の取り組みを引き続き維持・発展させていく意向を示した。
今後も、千歳市はひきこもり問題や市民協働、アイヌ施策に対する解決策を探るとともに、男女共同参画の向上に向けた努力を続ける必要がある。社会の多様なニーズに応えるためには、より積極的かつ効果的な施策が求められている。