令和3年第1回千歳市議会の一般質問において、生活保護制度が大きな焦点となった。
吉谷 徹議員(日本共産党)は、生活保護申請に対する国の対応や市民の利用状況について深掘りした。特に、生活保護基準が引き下げられたり、申請に対するハードルが高いことが問題視された。
この市議会の開催日である3月11日は、東日本大震災から10年を迎える日で、吉谷議員は改めて犠牲者に哀悼の意を示すとともに、社会の経済状態や社会的な支援への重要な意義を強調した。生活保護の基準に近い家庭が多く存在するにも関わらず、実際に受給している人は少ないという実態があることを指摘した。「生活保護が必要な状況にある人々が実際に制度に触れることが少なく、社会的偏見もあって申し込みをためらっている」と吉谷氏は述べた。
さらに、国の実施した調査によると、生活保護受給者は207万人いるものの、その数は年々減少傾向にある。受給者の内訳を年代別に見ても、特に高齢者の割合が高く、全体の約49%が65歳以上であることが明らかになった。対して、千歳市における生活保護申請件数について、山口 市長は2018年度が123件、2019年度は114件で、その結果も少なくないことを説明した。
吉谷議員は、生活保護を取り巻く大きな要因の一つが「水際作戦」と呼ばれる制度運用の厳しさであると訴えた。この運用により、多くの市民が生活保護への申請をためらい、必要な支援を受けられない事実があると主張する。さらに、申請を受ける際の手続きの複雑さや、資産確認のプロセスも人々を遠ざけてしまっているのではないかとも言及した。
また、吉谷議員は、新型コロナウイルス感染症の影響で急変した経済状況において、生活保護のさらなる周知が必要だと主張した。名古屋市では、緊急事態宣言発出後に生活困窮者への支援の拡充が図られた例を参考に、千歳市でも市民の生活を守るために具体的な施策を検討する必要があると述べた。生活保護に関する市民への周知促進と連携を強化することが求められる。
新たな施策や制度について山口市長は、厚生労働省からの生活保護業務に関する通知内容を説明し、生活保護の要件などのハードルが下がるような具体的な取り組みが行われる必要性を認識していると強調した。特に、困窮者に対し、より簡便な手続きを通じて適切な支援が行われるよう、今後も改善を続けていかなければならない。
公園のバリアフリー化や、福祉行政の充実などの関連質問にも、議員たちが様々な角度から意見を交え、議会は終始活発な議論が展開された。吉谷議員は、「制度がありながら利用に至らないことが多すぎる」とし、制度利用を促すための周知に尽力するべきだと述べ、話を締めくくった。