令和5年9月25日に行われた旭川市議会第3回定例会では、令和4年度の決算に関する大綱質疑が行われた。
上野和幸議員(無党派G)は、新型コロナウイルスの影響や物価高騰のため、昨年度の決算が厳しいものであったと指摘した。具体的には、歳入が14億円減少し、歳出が19億円増加したことが報告された。特に、新型コロナ対策として106事業に約125億円、物価高騰対策のために26事業に約80億円を執行したことが強調された。これにより、市民の生活基盤が脅かされている状況が浮き彫りになった。
市長の今津寛介氏は、令和4年度の決算を通じて、全国的な経済環境の影響を強く感じていると語る。また、中央との連携強化が重要であり、国土交通省との関係を深め、排雪場所の確保や除雪体制の充実にも尽力していると報告した。これらの施策は、寒冷地ならではの課題解決に向けた取り組みでもあり、地域の特徴を生かした施策を進める必要があると強調した。
重要なテーマとして、ふるさと納税についても議論された。令和4年度、旭川市のふるさと納税は、前年度比16.5%増の約22億円の寄附を集めた。しかし、経費を差し引くと、実質的な収支は約4.9億円にとどまる。稲田俊幸税務部長は、この戦略が地域経済に与える影響についても言及し、地域事業者との協力を強化することが持続可能な経済運営に繋がると述べた。
特に、大きな議論となったのはスポーツ振興基金の運用状況だ。菅原稔観光スポーツ交流部長は現行の運用方法について見直しが必要とし、歳入確保と事業見直しによる歳出削減を検討する考えを示した。加えて、地域振興との兼ね合いも含めて新たな手法を模索する必要があるとし、これまでの依存から脱却する動きが求められている。
最後に、人口減少対策が述べられた。熊谷好規総合政策部長は、地域における移住促進や企業誘致を推進しているが、効果には限界があると説明した。若年層の流出防止や地域活性化に向けた過去の計画の見直しが必要だという意見が多く寄せられた。
今後、旭川市は、地域の特性を活かした新しい施策を通じて、持続可能な市政運営を進めることが求められている。