令和5年6月の富岡市議会定例会において、学校給食の完全無料化や会計年度任用職員の待遇改善、生理用品の公共施設への設置についての議論が展開された。
まず、学校給食の完全無料化について、田村浩壽議員は市長にその実現を求めた。市長は、学校給食費に関して保護者負担が基本であるとの理論を持ちながらも、生活が困難な多子家庭に対して支援を行っていると述べた。また、給食費に対する物価高騰への対応も忘れないと強調したが、無償化には消極的な姿勢を見せた。これに対し、田村議員は、完全無償化が未来を見据えた子育て支援になるとの意見を展開。
次に、会計年度任用職員の待遇改善が注目された。田村議員は、非正規職員の割合が高く、その待遇の改善が急務であると訴えた。市長は、正規職員と非正規職員は役割が異なるため、急に正規化することは難しいと説明した。その一方で、会計年度任用職員の雇用安定についても否定せず、今後の改善を図るとの方針を示した。総務部長も多様な人材の必要性を訴えつつ、適切な人材採用について答弁した。
最後に公共施設のトイレへの生理用品設置に関する質問があった。田村議員は、生理用品の設置について「人権の問題」と位置づけ、トイレ常設の重要性を訴えた。しかし、市長や部長の答弁は、現行の配布手法を維持する方針であった。見えないニーズに対する理解が不足しているとの指摘があったが、これに対して市当局は、配布方法の変更は容易ではないとの考えのようだ。議会では、男女共にアクセスできる形で生理用品をトイレに設置することの意義について問われ、今後の社会的な認識を変えていくことが求められている。
この議論は、出生率の低下を背景に少子化が進む中で、根本的な子育て環境の整備が求められることを浮き彫りにしている。富岡市において、今後育児支援策の一環であるべき学校給食の無償化や非正規職員の賃金改善へ向けた議論が重要な課題として浮き彫りとなりつつある。
市として今後どのように対応していくのか、注視されることになる。特に、公共の場での人権に配慮し、誰もが安心して利用できるインフラ整備が急務とされている。