令和元年第8回矢祭町議会定例会が開催され、台風19号による被害状況や復旧支援策についての議論が行われた。特に、町民の安全確保や災害復旧に向けた意見が数多く挙がった。
議論の主要テーマの一つは、台風19号後の被災状況に関する報告だ。町長の佐川正一郎氏は、学校建物、住宅、道路、農地などが被害を受けたと説明した。最高雨量は223ミリ、最高水位は5メートルを超えた報告があり、これは特に町民への避難指示や安全確保の必要性を示唆している。
一般質問の中で、菊池淳之議員は、避難所の開設や情報発信の重要性を強調し、「町民への広報は適切になされていたのか」という疑問を投げかけた。これに対し、町民福祉課長の陳野勝美氏は、IP電話による情報伝達やエリアメールを通じて避難所開設を周知したと述べつつ、更なる改善の必要性を認め、今後の対応へと言及した。
復旧作業に関しては、町の事業課長である高橋竜一氏が、被災者への実効的な支援策と土砂撤去作業の進捗について説明した。特に、農地への泥の流入を受けた対策として、11月14日からの農地土砂撤去支援事業が開始されていることが報告された。
また、台風の影響で道路や堤防の無い地区の重要性が改めて確認され、国や県への要請が求められることとなった。関岡地区の堤防整備については、町長が協力の意義を強調し、堤防の設置を進める方針を示した。
加えて、観光事業についても議論が交わされた。滝川の被害回復のため、町は積極的に資源を投入し、住民の声を踏まえた復旧計画が進められるとの報告があった。また、地域の観光施設である親水公園の復旧に関する位置づけも重要視されており、今春の観光シーズンに間に合わせるための努力が必要とされている。
地域の活性化に向けて、育成計画や教育施策も見直しが進められる。特に、塙工業高校の存続問題が町民の関心を集め、地域としての対応が求められている。町長は、存続を支持する姿勢を示し、共同の運動を展開することが不可欠であるとの見解を示した。
このように本議会では、災害復旧、住民支援、防災対策、地域活性化について率直な意見が交わされ、今後の町の行動指針を示す機会となったことが伺えた。町民に寄り添った施策の推進が望まれ、何よりも住民の生活向上に向けた姿勢が強調された議会となった。