令和4年3月定例会では、一宮市の新たな市政運営に向けたさまざまな質問が行われた。特に、子育て支援や健全な財政運営、地域新電力会社の設立についての議論がフューチャーされた。
まず、子育て環境についての質問が多く寄せられた。特に印象的だったのが、産後ケアや子どもたちの成長を支える施策の充実に関する発言である。「産後ヘルプ事業の利用をもっと気軽にできるようにすべき」との指摘に対し、中野正康市長は「市民が安心して支援を受けられる環境を整えることが重要」と応じた。
また、毎年増加する子どもの人数や、現場での保育士不足についても問題視された。「年少クラスに副担任制度を導入してほしい」との意見に対し、市は「今年度中に試験的に導入を検討する」と答弁した。このように、保育の現場で感じている課題に市が耳を傾け、改善へ向けた議論が進められているのが伺えた。
さらに、地域新電力会社の設立についても活発な議論がなされ、「市民にとってどれだけの利点があるのか」を問う声が高まった。中野市長は「市の持続可能性向上に大きな役割を果たす事業である」とし、設立に向けた具体的なスケジュールについても説明した。
財政に関する議論も重要なテーマであった。特に、過去最大の予算案が提出され、その厳しさを背景に財政調整基金の取り崩しが行われることが懸念されている。市の成長を持続するためにも、新たな資金調達源や助成金の確保が不可欠であろう。「収入の見通しを甘く見ることなく、財政運営に真摯に向き合っていく」と市の姿勢が語られた。
今後も一宮市では、地域のニーズに応えた施策が求められる。市民の目線に立った市政運営を進めていくためには、議会や市民とのコミュニケーションが一層必要であるだろう。議会の質問の数々は、この市が本当に進むべき方向を示唆している。その中で、引き続き市が市民からの声をどれだけ真摯に受け止められるかが試されるものである。