令和3年6月の上野原市議会定例会が開催された。この会議では、様々な市政に関する質問がなされ、多くの重要なテーマが議論された。
特に目を引いたのは、市行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に関する発言である。内田倫弘議員は、今年の9月に新設されるデジタル庁に触れ、上野原市におけるDX推進の重要性を訴えた。内田議員は、「ウィズコロナの時代に市民サービスを向上させるため、行政のデジタル化が必要だ」と強調した。
これに対し、小澤勇人総務部長は、自治体DX推進計画の段階を踏まえ、情報システムの標準化やキャッシュレス化の促進、オンライン手続きの拡充を検討していることを明らかにした。特に、自治体の業務効率化と、市民への利便性向上が目指されている。
また、マイナンバーカードの普及促進についても議論が交わされた。内田議員は、2020年度末でのマイナンバーカード交付枚数が3,590万枚で普及率28.2%であることを挙げ、こちらの普及をさらに進める必要性を述べた。尾形武徳市民部長は、市民への啓発活動を行い、利用場面を増やすことで普及率の向上を図る意向を示した。
さらに、高齢者向けのデジタルリテラシー向上については、中村慎長寿介護課長が答弁し、スマホ教室の開催を検討していると述べた。そして、「誰一人取り残さない人に優しいデジタル化」を掲げ、高齢者に対する支援も重要であるとの認識を示した。
今回の定例会では、市民参加によるまちづくりや感染症対策が盛り込まれた学校給食費の無償化に関する質問もあった。市長はこの実現には厳しい財政負担が伴うことを認めつつ、少しずつ検討していく意向を見せた。