海南市議会は、令和4年度9月定例会を開催し、多くの議案が審議される中、特に道の駅条例や水道料金に関する条例が注目を集めている。
日程に上がった議案の中でも、「海南市道の駅条例」についての議論が活発に行われた。建設経済委員会委員長の東方貴子氏は、総務委員会報告において「道の駅使用料の上限を売上げの三割とする基準が不透明で、ビジネスに影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。市は、他の地方自治体の事例を参考にしていると答弁しているが、使用料の設定については議員から多くの懸念が寄せられた。
また、「海南市水道料金審議会条例」も議論の焦点となった。水道部長の前山勝俊氏は、「この審議会は将来を見据えた水道事業の経営を安定化させるために設置されるものであり、値上げありきではない」と強調した。市民の意見を反映させた透明性の高い審議を行う姿勢が求められている。
議案の中には、令和4年度の補正予算や令和3年度の決算認定も含まれており、これらは全会一致で可決された。特に予算決算委員会委員長の栗本量生氏は、「各種事案について議論と評価を行った結果、97%の議案が承認されたことは、市の財政健全化に寄与する」と述べ、次年度に向けた期待感を示した。
今回の定例会では、請願第1号「国に所得税法第56条の廃止の意見書提出を求める」請願が審議されたが、賛成少数で不採択となった。賛成派の意見として、溝口恵敬氏は「税法は現代の社会に即して見直す必要がある」と力説し、反対派の米原耕司氏は、「課税の公平性を維持するためには青色申告制度を優先すべきである」と主張した。
市長の神出政巳氏は、閉会に際し「議員の皆様の意見は真摯に受け止め、今後の市政の発展に活かしていく」と述べ、今後の指導を仰いだ。海南市の未来に向けた前向きな議論が行われた9月定例会となったことは、市民にとっても重要な意味を持つだろう。