令和6年3月、本市議会では一般質問が行われ、各議員から多様なテーマに関する意見が交わされた。
特に、農林振興に関する質問では中村元彦議員が鳥獣害について言及した。最近のイノシシ被害は約2,400万円に上り、過去3年間の対策費5,600万円に対し、大きな割合を占めている。中村議員は、この状況に鑑みて、森林の整備と動物の生活環境の再構築を提案し、持続可能な社会を目指す重要性を強調した。
これに対し、市長の尾花正啓氏は、鳥獣害対策や森林の公益的機能の重要性を認識しつつ、地域の特性に応じたアプローチを検討すると述べた。その上で、動物が住む環境を再構築することが重要であるとし、議員の提案を真摯に受け止める意向を示した。
また、交通政策に関しては、中村議員が、少子高齢化の影響を受けつつある公共交通の将来について質問した。特に、和歌山バスの路線廃止がもたらす地域住民への影響を取り上げ、公共交通の維持と新たな交通手段の導入を求めた。尾花市長は、公共交通の確保が一層重要になっていく中で、地域バスや新技術の活用を進める考えを示した。
子供たちを取り巻く環境整備に関しては、教育政策や不登校対策など各議員が意見を交わした。森下佐知子議員は、不登校児童の支援体制を整備する必要性を訴えた。また、子どもが安心して過ごせる環境を整えることの重要性も強調された。市長は、相談体制の強化や居場所づくりへの取り組みを進めていく意向を表明した。
他方、人口減少時代における自治体行政のあり方においては、薮浩昭議員が人口減少の深刻さを訴えた。和歌山市の人口は確実に減少しており、2060年にはさらに厳しい状況になるという予測がある。市長はこの状況を敏感に受け止め、人口対策を強化する考えを伝えた。
防災・減災対策においては、最近の能登半島地震を受けての議論が交わされ、近隣住民の安全を守るための体制強化の重要性が再確認された。市長は、学校を避難所としての機能強化に取り組む方針を示し、住民への迅速な情報の提供や安全対策の充実に向けた具体的な施策についても言及した。
旧同和行政に関する問題提起もあり、人権施策としての方向性が問われた。市長は引き続き、地域改善に向けた取り組みを継続する意欲を示したが、その効果の測定や公正性についての疑問も議員から出された。