第100回安来市議会定例会が令和4年6月7日に開かれ、消防体制の議論が行われた。
今回の議題では、特に消防体制の今後の在り方が大きな焦点となっている。消防団の人員不足や災害対応の現状について、議員から重要な意見が出ており、市が抱える課題が浮き彫りになった。
岡本早智雄議員は、消防団の人員減少と頻発する災害に対する市の対応を懸念した。特に昨年の水害や最近の火災では、消防団の人手不足が課題として注目されていると述べ、「市民の生命と財産を守るため、体制整備は最優先事項である」と強調した。
これに対し、青戸博司消防長は、現行の消防職員数が条例定数の93名に対して90名であることを報告し、消防団員については76名が不足している現状を説明した。さらに、各分団での入団促進活動を続けているものの、団員減少の原因は少子・高齢化や地域の雇用環境にあると認識していると述べた。
議会では、安来市消防団改革検討委員会の活動にも言及された。委員会は消防団員の処遇改善を目指しており、青戸消防長によると、今年度中に処遇に関する条例改正が予定されているという。岡本議員は、「処遇改善は団員の士気向上にもつながる」と述べ、その重要性を指摘した。
また、消防操法大会の在り方についても必要な見直しが求められた。大会準備が団員に負担を強いているとの指摘に対し、青戸消防長は「消防操法は必要な技術を養うために重要である」と答えたが、訓練内容の見直しは頭に置いているという。
さらに、地方公務員の定年引上げにより、将来的な消防団の人員不足解消が待たれることも議論に上った。大久佐明夫総務部長は、消防職員の確保に向けた計画的な採用が実施されるとの見解を示した。
岡本議員は、マンパワーの確保がデジタル化に勝る重要な要素であるとし、市民と消防との連携強化が進められるべきだと訴えた。消防長は、地域での情報共有と緊急時の対応の重要性を認識し、今後も訓練を通じてマンパワーを増強する意図を示した。
今後の消防体制の強化に対して、市議会はより一層の議論を深めることが求められていることが確認された。