令和5年9月12日、坂戸市で開催された定例会において、教育環境や支援制度に関する議論が行われた。
特に注目を集めたのが、GIGAスクール構想の進捗とその課題である。教育部長の岡安 明久氏は、ICT端末の普及が進んでいることを報告した。具体的には、市内の小中学校で、児童生徒に1人1台のICT端末が配布され、無線LANも整備済みである。調査によると、小学校6年生の約96%が週3日から4日、ICT端末を活用しているという。一方で、中学校でも91%が同様に活用しており、その利用状況の向上が望まれている。
ただ、課題も指摘された。端末の故障が多く、修繕費用が嵩む現状に対し、児童生徒の取扱い指導が必要であるとされる。また、ICT端末の導入から3年が経過し、更新の必要性が高まっているが、どのように円滑に行うかが今後の課題である。
さらに、教員間や学校間でICT端末の使用頻度や内容に差が生じていることから、教員の技能向上も求められている。新たな技術の進展も含めて、情報モラル教育やリテラシー教育を充実させる必要があるとされる。
議論は奨学金返還支援制度にも及んだ。この制度は、卒業後の若者が負担を感じる奨学金の返済に対する支援策であるが、現在本市ではこの制度を導入していない。総合政策部長の楠本圭司氏は、県内ではすでに多くの市町が返還支援を実施していることを指摘し、埼玉県内における援助制度の現状と地元企業との関連性を強調した。返還支援制度があることで、若者の地方定着が促進されるという見解が示され、新たな政策を模索する姿勢がみられた。