令和5年3月9日、坂戸市の定例会が盛況の中で開催された。
この日の議題の中心は、地域共生社会の実現と認知症対策であった。特に、新型コロナウイルスの影響を受けたこの時期において、地域の絆を深め、安心して暮らせる環境を整えることが急務とされる。
最初の質問者として登壇した野沢聖子議員は、厚生労働省のデータを引き合いに出し、高齢化社会における支える環境の必要性を強調した。特に、地域共生社会の実現に向けた福祉政策の重要性について質問し、地域住民が相互に支え合う仕組み、そして子どもたちを含めた福祉教育の必要性を挙げた。情報の伝達不足が実際の支援活動に影響を与えている点も問題視され、より広範囲な情報共有が求められている。
次に、市原真一福祉部長は、地域福祉推進の現状及び今後の取り組みについての現状を説明した。特に、「坂戸市社会福祉協議会」との連携強化、またオンラインサービスの拡充が強調された。この福祉施策は、多様な主体の参加を促進し、高齢者が地域で安心して生活し続けるための基盤を築くことを目的としている。また、認知症に関連する相談体制も充実しており、地域包括支援センターの設置による支援の充実が図られているとのことであった。
さらに、武井誠議員は、認知症高齢者の現状とその支援策について、具体的な質問を行った。高齢化が進展する中での認知症の患者数が増加する傾向にあり、特に、軽度認知障害（MCI）とされる潜在的な認知症予備群の問題も浮かび上がった。市原部長は、高齢者の見守り活動とともに、認知症施策推進大綱に基づいて具体的な支援活動が行われていることを述べ、今後も早期発見と早期支援を強化する方針を示した。
討議の中では、家庭や地域での支え合いの重要性や、各種教育活動の必要性が強調された。特に、教育現場における認知症への理解促進の取り組みや、高齢者との交流活動を通じて、地域全体で支える姿勢を育成することが重要であるとの見解が多くの議員から示された。今後は、ICTを活用した支援策や、家庭介護教室の拡充などが期待されている。
最後に、市原部長は、地域共生社会の実現に向けて、「ほんの小さな支えが大きな安心に繋がる」と述べ、これからも地域全体を巻き込んだ施策を推進する姿勢を強調した。自治体としての取り組みが、住民一人一人の人生をより良くつなげていくことが期待されている。