令和2年6月4日、さいたま市の定例会が開かれた。本会議では議案の上程とその質疑が中心議題として取り扱われた。
市長から提出された議案第111号から第136号及び第144号の27件が一括して上程された。特に、議案第111号に関連して、民主改革さいたま市議団の佐伯加寿美氏から新型コロナウイルス感染症予防事業に関する質疑が行われた。佐伯氏は、PCR検査場の設置状況や病床確保について詳しく尋ねた。
これに対し、保健福祉局の木村政夫局長は、「本市では新型コロナウイルス感染症の検査環境の拡充を進めており、4か所でPCR検査を行っている」と説明。さらに、検査可能数については、「週に3回から5回の間で、1日に約10人を検査することができる」と述べた。具体的な実績として、5月には240人の検査が実施されたと報告した。
また、経済局長の千枝直人氏は中小企業支援事業について言及。国や県の要件を満たさない小規模企業者に対し、本市独自の給付金を提供することを強調した。これは本市が独自に支援策を講じる理由でもあり、「前年同月比で50%以上の減収があった事業者に対して幅広く支給することを目指している」とした。
議案第116号の「さいたま市市民憲章審議会条例の制定について」に関しても質疑がなされ、経緯や審議会の設置目的についての説明が求められた。市側は、「市民憲章制定は令和3年の20周年及び総合振興計画のスタートを踏まえており、多くの市民の意見を反映させていきたい」とした。一方、他の議員からは新型コロナウイルスの影響を考慮し、即時に取り組む必要があるかを問う声も聞かれた。
議案第121号では、児童福祉施設の運営基準改正についての質問も展開された。際立つのは、市長が保育士と同等の知識を有する者を特例的に扱う件で、子ども未来局長の金子博志氏は「保育士の専門性を重視しつつ、実情に基づく柔軟な運用を目指す」と答えた。
このように、今回の定例会では、新型コロナウイルスの影響に対処するため、市は様々な質疑に対し具体的な施策と今後の見通しについて積極的に説明した。議員側も特例的な施策についての懸念を示しつつ、必要な支援を市民に届けるための議論を続ける意向を表明した。