令和6年6月のさいたま市議会定例会では、挙げられた請願や議案に対して多くの質疑が行われた。この中で、特に注目されたのはグリーンヒルうらわの廃止に関する議案である。市は、施設の老朽化と民間事業者の参入状況を考慮し、廃止する方針を決定したが、市民からの強い不安と反発が広がっていることも事実である。特に、利用者やその家族への十分な事前説明がなかったことが指摘されている。これに対し、福祉局の山崎勝局長は「利用者への寄り添った支援を徹底する」と述べ、今後の対応についての意向を示した。また、補償についても「社会通念上必要な経費の補償について検討してまいります」と強調し、利用者の不安解消について責任を持つ姿勢を示している。
請願第6号、「国際法遵守の呼びかけに関する請願」では、複数の議員が採択を支持したが、最終的に不採択となった。これについて日本共産党の議員は、国際法遵守を求める地方議会の声が重要であると強調し、採択に賛成する立場を取った。他方で、他の議員は国際社会全体での努力が重要であり、一自治体の声に限らず、広く協調していく必要性を訴えた。
共同親権導入に対する反対請願も、さまざまな観点からの議論を引き起こした。この請願は、子どもたちの安全や権利を優先するべきとの見解が大半の議員から支持されていたものの、実行可能性や現行法との整合性についても意見が分かれた。反対意見も多く、慎重な取り扱いが求められる。
議会運営に対する質疑の中で、特別委員会への諮問や講じるべき施策等についても触れられ、市の運営における透明性と市民への信頼性の確保について強い要望がなされていた。
政府や市の施策に対して、市民からの懸念が強まる中、今後の政策決定プロセスに市民の声をいかに反映させるかが重大な課題として浮かび上がった。