令和元年の加須市議会定例会において、様々な議案が議題に上がり、特に介護保険制度に関する議論が活発であった。
中でも、介護保険条例の改正は、高齢者への影響が深刻なため注目を集めた。市議会の佐伯由恵議員（日本共産党）は、介護保険料の高騰を指摘し、低所得者への軽減を求める姿勢を強調した。佐伯議員は「特に高齢者の負担は生活を圧迫する要因であり、今後も引き続き軽減策を求める」と述べた。これに対して福祉部長の齋藤一夫氏は、改正内容として「令和元年10月以降の消費税率引き上げに伴う介護保険料軽減を図る」と説明した。
具体的には、低所得者層に当たる第１段階から第３段階の保険料を軽減し、その財源を確保する方針を示した。また、影響を受ける対象者数は約8,672人に上り、軽減による総額は約4,140万円に達する見込みである。
議会は、介護保険の制度を見直し、市民の声を反映させることが求められる中で、質疑応答が続いた。佐伯議員は、負担増となった保険料の見直しを求めたが、市長の大橋良一氏は「水道事業と同様に、独立採算制を図るための運営が必要」との見解を示すにとどまった。
また、工事請負契約の議案についての発言では、騎西中央幼稚園の再整備の重要性が指摘され、特に子ども達の安全についての対策が話題となった。こども局長の大和田一善氏は、設計段階から保護者の不安を考慮し、幼稚園と小学校のスペースの分離が行われる旨を説明した。この複合化の取り組みが地域全体にとってどのような影響を与えるか、今後の課題としても重要だと認識されている。
さらには、第７号議案から第15号議案までについて一括質疑も行われ、特に低所得者向けのプレミアム付商品券事業の実施が市内商業に与える影響や、その透明性が議論の的となった。市はこの施策を通じて「地域の消費を喚起し、商店街の活性化につなげる」のが狙いとし、経済部長の細田悟氏がその方針を説明した。
この議会では、消費税増税に伴う料金改定の是非がしばしば論じられ、特に水道事業については生活に直結するため、慎重な議論が求められる。市民の生活向上を目的とした施策が、具体的にどのように実行されるかが、今後の課題であることも浮き彫りとなった。これらの議論を通じて、市議会としてより良い加須市づくりに向けた道筋が見えてくることが期待されている。