令和5年度の富士見市議会において、一般会計や特別会計の予算が審議され、重要な課題が浮き彫りとなった。
市長の星野光弘氏は、予算の編成過程で「持続可能なまちづくり」を強調し、財政健全化を図る方針を述べた。議案の中心は、一般会計予算の約390億円で、前年度比3.3%の増となっている。
特に注目されたのは、日本の景気低迷を受けて、国民健康保険制度の見直しである。市民の負担軽減が求められる中、財政の健全性を守るためには、国の経済政策との連携が不可欠であることが指摘された。市民部長の塩野英樹氏は、今後の収入や支出の見通しについて、「厳しい経済環境の中でも安定的な運営が求められる」と述べた。
また、国民健康保険については、傷病手当の制度が5月8日の変更により終了することが告げられ、生活費の高騰が無視できない現状下で、税負担の軽減が求められているとの見解が示された。加えて、令和6年度には県水料金の上昇が計画されていることから、富士見市でも水道料金に影響を及ぼす可能性が高い。市長は「慎重に事態を見守り、必要に応じて県への要望を行う」と情勢を注視する姿勢を示した。
また、教育行政の分野では、学校給食費の無償化は現時点で考えていないという答弁もあり、必要に応じて今後の方針を検討する姿勢を示した。一方で、教育長の山口武士氏は、「教育現場における充実した施策を通じて、子どもたちがともに成長できる環境を提供する」との決意を再確認した。
経済政策、福祉、教育など多岐に及ぶ議論が行われた。特に高齢者福祉や介護施策について、地域包括ケアシステムの充実に向けた取組が今後も進められるとの見解が示された。特別養護老人ホームの待機者対策や認知症対策も引き続き強化される予定で、市としても「包括的なサービス提供」に努めていく方針を伝えた。