令和元年第196回名護市定例会において、さまざまな議題が討議された。特に注目されたのは、ハンセン病問題に関する啓発と国立療養所沖縄愛楽園の土地利用に関する計画である。
市民福祉部の比嘉一文部長は、ハンセン病についての理解が不足している現実を認識し、市としての啓発活動を強化する意向を示した。「現在も患者やその家族が差別や偏見に直面している。私たちはその歴史を忘れずに、啓発活動を通して社会の理解を得る努力が必要だ」と述べた。
地域政策部の松田健司部長は、沖縄愛楽園の土地等利活用基本計画について触れ、この計画の進捗に期待を寄せる。「推進協議会の設立により、関係者の意見を集約しながら事業を進めていく。これにより、愛楽園が持つ歴史的価値を生かして社会貢献を図りたい」と強調した。
農業振興がテーマとなった際、比嘉克宏農林水産部長は、名護市の農業粗生産額が回復傾向にあることを報告した。「現在、農業の粗生産額は73億円に達している。これは生産者の努力と、行政としての支援が実を結んだ結果だ」と述べた。その一方で、業界全体が直面している後継者不足や自然災害の影響についても言及し、さらなる支援を求めた。
また、渡具知武豊市長は、北部振興事業についても言及し、政府との協議を続け、「予算の確保に努め、地域の発展を進めていく必要がある」と改めて強調した。
会議の最後に、農業振興に関する具体的な施策として、名護市全体の農業の底上げを図るための「名護市農業振興基本条例」の必要性が語られた。議会では、条例を通じた連携強化を求める意見も相次ぎ、地域の特色を生かした農業振興が期待される。