名護市は、令和5年6月8日に第211回定例市議会を開催した。
会議では、地域防災計画やヤングケアラー問題に対する新たなアプローチが議論されるなど、多くの市民に影響を与える重要なテーマが提起された。
まず、宮里尚議員が名護市地域防災計画の修正点について質問し、仲本太総務部長が具体的な修正内容を説明した。主な変更点としては、避難所における新型コロナウイルス感染症対策が含まれ、個別避難計画の必要性が強調された。これに対し、宮里議員は地域の防災意識を高めるため、さらなる市民参加型の啓発活動が必要であると訴えた。
また、ヤングケアラー問題にも焦点が当たり、高里盛克こども家庭部長は、名護市内においてヤングケアラーと見なされる児童生徒の実態を把握する重要性を指摘した。名護市では、実態把握のためのアセスメントシートの導入を検討しており、個別支援を通じた支援体制の構築を目指している。
下水道行政に関する議論では、翁長武嗣環境水道部長が水洗便所改造等助成制度について詳しく説明。かつては高い金利であった貸付制度が無利子に改正されたことを受け、市民にとって利用が容易になったと述べた。その一方で、下水道への接続促進のための事業も進められており、具体的な数値として平成30年度以降225件の補助金交付が行われたと報告した。
農林水産行政については、當山賢農林水産部長が漁業再生支援事業について説明し、名護市におけるシークヮーサーやマンゴーの栽培状況についても議論が交わされた。特にシークヮーサーの栽培面積は安定しているものの、収穫量が減少傾向にあることが懸念されている。
福祉行政においては、生活保護の受給世帯数が年々増加していることが問題視された。大城智美福祉部長は、生活保護世帯への校納金の取り扱いや教育扶助の充実を図る方針を示し、市民生活の安定化に向けた施策を強化していくと強調した。
決定された施策は、名護市の未来に向けた重要な一歩として、市民の声に対して真摯に耳を傾け、取り組んでいく姿勢が示された。
全体を通じて、各議員は地域の課題について活発な意見を交わしながら、具体的な政策実施と市民生活の向上に向けた努力を続けることを確認した。