令和5年度宮古島市議会定例会での一般質問では、農業、観光、福祉、教育という幅広いテーマが討議された。特に、農林水産行政に関心が集まっており、農業政策の充実が求められている。
まず、農林水産部長の砂川朗氏は、農林水産業の振興につながる「農林水産物流通条件不利性解消事業」に関する実証事業を紹介した。コールドチェーンの実施により、海産物の物流効率を上げ、漁業協同組合との連携が強化されつつあることを述べた。更に、粟国恒広議員は、海産物の収穫と物流の課題を挙げ、流通システムの改善を求めた。
次に、地域漁業の新たな市場展開についても言及された。特に、有機アーサが日本初のJAS規格に合格したことは、宮古島の水産業にとって大きな飛躍を遂げるチャンスであるとし、市長の座喜味一幸氏もその重要性を強調した。
観光行政のテーマでは、今年度の観光振興も重要な論点となった。市民生活部長の友利毅彦氏は、観光客の安全対策として酸素供給キットの導入を提案したが、現時点では実現には至っていないことが話し合われた。
福祉部門では、子供の医療費助成の拡充が議題となり、平良敏夫議員より18歳までの医療費無料化の必要性が指摘された。福祉部長は、県の動向を見守りつつ、今後検討を進めていく意向を示した。特に、医療費助成の拡充が求められる背景には、コロナ禍における生活困窮や物価上昇があり、切実なニーズが存在することも議論された。
さらに、予算編成においては、県外からの観光客増加を受け、健全な自主財源の確保が議論され、バランスの取れた財政運営が必要であるとの認識が共有された。特に、ふるさと納税の活用や新たな収入源の確保が求められている中、イノベーションを通じた地域活性化が期待されている。
この定例会では、市民の意見も反映しつつ、これからの宮古島市の振興策を見据えた議論が行われた。特に首長や議員間での協力体制を築くことが、持続可能な地域社会の実現に向けた鍵となる。