令和5年3月、津山市議会において、議員らは様々な議案質疑と一般質問を行った。特に注目を集めたのは、特養ホームでの虐待問題や、地域DX推進ラボの設立、さらに農業施策の方向性についての議論であった。
特養ホームに関する議論では、利用者の尊厳に関わる多くの問題が提起された。議員からは、「入所者が亡くなった際の対応や、介護計画にサインがないことが常態化しているのではないか」との指摘があり、行政の適切な対応を求める声が上がっていた。他にも、虐待の定義や確認基準の甘さについても言及され、その背景にある組織の問題が浮き彫りとなった。
また、地域DX推進ラボの設立についても多くの質問が寄せられた。市長は、地域のデジタル化を進める重要な取り組みであり、スマートシティ構想に基づくものであると強調した。しかし、デジタルスキルに不安を抱える市民も多い中、果たして誰にでも手が届く施策となるのか、その実現可能性が問われている。
農業施策については、小麦の自給率向上と育成の重要性が強調され、特に学校給食に地元産小麦を100%使用する計画が進められている。これに関連し、農業トライアルワークの計画も発表され、市外からの移住者に対して農業体験を提供する方針が示されていた。
さらに、津山市が太陽光発電に取り組む一方で、その環境への影響や地元住民の声も無視できないという意見も出た。「地域住民が納得できる形での運用を」との声が議会内から上がった。市は、再生可能エネルギーの推進に対し、懸念も踏まえた環境整備を模索している。
最後に、市長自らもこれまでの施策を見直す必要性について言及し、これからの津山市における持続可能な地域づくりを模索する姿勢を示した。重要な議論が多く行われたこの議会は、今後の行政の方向性や市民への影響を考える上で重大な意義を持つものとなった。