令和六年九月四日に開会した天理市議会では、複数の重要議案が審議された。
特に耳目を集めたのは奈良県広域水道企業団の設立に関する協議である。村木敬議員はこの件について、公共の水道事業を民間に委ねることへの懸念を表明した。村木議員は「民間資本の活用は、利益優先の運営につながり、天理市民の健康や公衆衛生に危険をもたらす。」と指摘した。市長の並河健氏は、コンセッション方式への移行や民営化は行わないと強調し、公共主体がしっかりと責任を持つべきだとの意向を示した。
また、村木議員は、議会内での意思決定のプロセスについても疑問を呈し、広域水道企業団の独自の議会では市民の意見が反映されにくいとの懸念を述べた。市長は、「全市町村が運営協議会で議論し、意思決定されるべきだ。」とし、村木議員の意見に一定の理解を示した。さらに市長は、職員の身分についても言及し、水道事業に関わる職員が公務員としての身分を維持することを強調した。
別の議案では、介護保険特別会計補正予算などが一括審議された。各議案とも、所管の委員会に付託され、休会中に審査されることとなった。これにより、議会の透明性と市民参加が一層促進されることが期待されている。また、認定案では前年度の決算についても審議され、七つの決算案が一括して付託されることとなった。
議長は、議会の意見や市民からの声を反映させながら、今後の水道事業の運営に向けた議論を続けていく姿勢を示し、地方自治の重要性を再認識させる内容であった。今後も引き続き、天理市が市民の健康と安全を守るための取り組みを進めていくことに注目が集まる。