令和5年5月2日に開催された奈良市議会の臨時会では、奈良市新斎苑用地取得に関連する和解案が主要な議題に上がった。特に注目されたのは、奈良地方裁判所による損害賠償請求事件に関する和解案であり、これにより市民の財産に与える影響が懸念されている。
請願第3号では、新斎苑用地取得に係る損害賠償請求事件に関する和解案を否決することが求められている。この請願は、裁判所の和解案が市民の権利を軽視しているという見解から発されたもので、出席議員の間で賛否が分かれた。また、自民党の八尾俊宏氏は、「和解案の内容には問題がある」とし、もっと高額な金額での和解を求めた。
一方、仲川元庸市長は、この和解案についての見解を示し、早期解決の重要性を強調した。仲川市長は「和解により、早く解決することで市民に利益をもたらす」と述べ、結果として市民が迷惑を被ることは避けたいという考えを示した。さらに、市長は、和解金額が裁判の継続による不確実性を回避することで税金の合理的な使用につながる可能性も指摘した。
これは、住民訴訟制度のもとで行われているものであり、特に第2段階での損害賠償請求の手続きについては、地方自治法第242条の3第5項が関わっている。そのため、市は政府からの指導を受けつつ慎重に検討しているとした。今回の和解案は、奈良地裁からのものであり、前件の判決を受けて新たに認識された事情が考慮されているとのことだが、住民側からの不満も大きく、今後の議論も避けられない。
このような背景のもと、早田哲朗議員からは「和解が市民に理解されるのか」という疑問が投げかけられ、監査委員はその妥当性について反論を試みた。月日が経つにつれ、議会内での議論は和解の是非に集中し、今後の動向が注目される。