令和2年7月28日、奈良市議会は臨時会を開き、市長専決処分の報告を含む補正予算案を審議した。
市長の仲川元庸氏は開会挨拶の中で、新型コロナウイルス感染症への迅速な対応の重要性を強調した。感染状況が悪化する中、医療体制の整備や地域経済の支援を図るため、補正予算を通じて必要な施策を講じることが求められた。特に、医療従事者や低所得者層への支援が拡充されることとなった。
本日の議題には、市長専決処分による報告が5件あり、報告第37号では、子育て支援のため低所得の単親世帯への臨時特別給付金支給のため、4億1570万3000円の増額措置が紹介された。さらにプレミアム付商品券発行事業や観光関連業者支援に対する予算の増額も提案された。
報告第38号から41号では、市の損害賠償に関する7538万円の案件が扱われた。松石聖一議員は、特に交通事故に関連する損害賠償が多い点を懸念し、事故防止対策の強化を求めた。市長は、事故の再発防止に向け、透明性の高い報告プロセスの構築を約束した。
次に、補正予算第92号が議題に上がり、これに関する詳細な説明が市長からなされた。新型コロナウイルス関連の支出が32億7272万円とされ、この中には医療機関での感染防止対策強化、社会経済の復興に向けた支援金、そして新しい生活様式に適応した取組が含まれる。市長は、地域の特性を活かした新しい価値創造が地域活性化に繋がると強調した。
議員からの質疑が続き、特に奈良市における新型コロナウイルスの感染状況が多数の議員によって懸念された。市長は、奈良市内での新型コロナウイルスの感染者数が増加しており、24時間体制での対応を進めていると述べた。また、医療体制の担保と支援策のスピードを重視していることも伝えられた。市としては、感染リスクを避けつつ市民の生活保障を行うため、多角的な戦略を展開していく考えを示した。
議案第93号の訴えの提起について審議され、こちらも補正予算の一環として、奈良地方裁判所の第一審判決の手続きを巡る違法性が指摘され、大阪高等裁判所での控訴が行われることとなった。議会は、この訴えの提起を賛成多数で可決し、今後の裁判に対する市の姿勢を明確にした。