令和5年奈良市議会6月定例会が、5日に開会した。
市長の仲川元庸氏は開会挨拶の中で、最近の台風や降雨状況について言及した。台風2号の影響により、本市でも土砂災害警戒情報が発令されたことを受け、迅速に災害対策本部を設置したと述べた。さらに、今後の気候変動に備え、市民の協力を仰ぎながら防災力向上に努めることを強調した。
また、仲川市長は少子化の現状についても触れ、出生率が過去最低を記録したことを危惧した。特に2022年の出生数は77万747人であることを挙げ、「今後の社会機能の維持には待ったなしの危機的状況」と警鐘を鳴らした。この点については、国が推進する少子化対策に対して、地方自治体も連携しながら役割を果たしていくことを明言。
定例会では奈良市議会基本条例の一部改正が議題に上がり、議員の文書質問に関する条件の明確化が提案された。この改正は、議会運営委員会での協議に基づくもので、議員間の合意を得て提案された。事務局の対応により、質疑は行われず、原案は可決された。
報告のセッションでは、繰越明許費繰越計算書及び外郭団体の経営状況について市長が詳述した。報告第28号では、一般会計における72億734万8000円が小中学校施設などの整備事業に充当されるとの説明があった。株式会社奈良市清美公社の経営状況に関する報告でも、令和4年度の当期純利益が3426万1802円であったことが報告された。特に公社は市からの受託業務を行っており、市民との接点が多い。
農業委員会の委員任命についても進行され、全19名が適任とされ原案通り採決された。市長は新任者を含む各委員の素質に信頼を寄せ、今回の委員任命が農業政策の推進に寄与することを信じると述べた。
議案第61号では一般会計補正予算が審議され、エネルギー及び食料品価格高騰に対する支援策が盛り込まれる。給食費無償化や在宅育児世帯へのギフトカード配布も議案として提出され、経済的負担軽減の策が明示された。市長はこれらが次世代育成に重要であるとし、議員からの理解を求めた。
今後は、傷病者や隔離者に対する支援の拡充、さらには事業者への支援策も含めた議論が続く見込みだ。引き続き、会議は6月8日に再開され、さらなる審議が行われることになる。全体を通じて、議会では市民の暮らしを守る施策に向けた対応が進められている様子がうかがえた。