松阪市の令和2年6月定例会では、重要な議題が取り上げられ、市民生活に関連する複数のテーマが議論された。
特に注目を集めたのは、海住恒幸議員による文化財収蔵庫の建設予定地に関する再検討の提案である。海住議員は鈴の森公園内に約4億3700万円で建設する計画について、市民が親しんできた公園の価値が損なわれると懸念を示した。文化財センターの隣地であるこの場所は、近隣の自然環境にも影響を与える可能性があり、海住議員は「この計画は市民の意向を無視している」と強調した。
これに対して、産業文化部長の内山次生氏は、歴史文化活用のための施設が必要であるとし、長谷川家が松阪市に寄贈した80,000点の文化財を適切に保存するために、この施設が必要不可欠であるとの立場を示した。しかし、海住議員は「市民の視点を無視した判断」として反論し、計画の撤回を求めた。
次に、市民病院の運営についても重要な意見が交わされた。海住議員は特に、松阪市民病院が新型コロナウイルス対応で重要な役割を果たしていることを指摘し、今後も感染症指定医療機関としての姿勢を維持するべきだと述べた。市民病院事務部長の武田裕樹氏は、人口減少や高齢化を背景に、地域医療の在り方に関する議論が必要であることを認めたが、具体的な医療体制の維持については結論を出せないとの見解を示した。
最後に、令和2年度松阪市一般会計補正予算(第3号)が提案され、市内経済の早期回復を目的に約9億5000万円をかけた「コロナに負けるな!松阪みんなの商品券事業」が盛り込まれていることが発表された。この商品券はプレミアム率100%で、市内の登録店で使える1万円分の券が5000円で購入できるもので、家計支援や経済活性化を狙っている。市長の竹上真人氏は、地域経済の再生に向けた強い意欲を示した。