令和3年3月、宇治市議会が定例会を開会し、市長の松村淳子氏が令和3年度の施政方針を述べた。特に、新型コロナウイルス感染症に対する取り組みが最優先課題として強調された。感染拡大防止と経済活動の両立が求められる中、宇治市は新たなふるさと創造を目指している。
松村市長は、「しなやかに。静から動へ」を基本姿勢に、市民との協力を重視すると述べた。今後の予算には、一般会計予算641億4,000万円が計上され、対前年度比14億4,000万円の増加となる見込みで、過去最大の規模が確保された。
市長は、予算案の中で新型コロナウイルス対策、子育てへの支援、そして地域防災への取り組みを挙げた。具体的な施策としては、障害者施設や高齢者施設に専門家を派遣し、感染防止対策を強化するほか、ワクチン接種の円滑な実施に向けた準備を進める予定だ。この他、中小企業の支援策や、観光業を復活させるための施策にも力を入れる必要があると強調した。
また、令和3年度予算の特徴として、歳入の大半が市税収入で占められる一方、歳出の中で扶助費が増加傾向にあり、財政状況は厳しいものと予測されている。しかし、市長は健全財政を維持しながらも、最大限の施策展開を図る所存であると述べた。
新たに設立される「子育てにやさしいまち実現プロジェクト」では、地域コミュニティーの支援や、親子で利用できる施設の整備などが行われる。このため、地域住民が支える子育ての環境づくりを強化し、誰もが住みたくなる街を実現していくという姿勢が示された。また、教育環境の充実にも注力し、ICT機器の活用や、読書や生涯学習を推進する施策が進められる。
宇治市議会では、上記に加え、地域密着型サービスや高齢者福祉に関する条例の制定及び改正案も提出され、合わせて21議案が了承される予定だ。公共インフラの維持管理や防災対策の充実も重点課題とされ、発展に向けて市民と共に取り組んでいくことが求められている。